本日は、京印章シーオージェイピーの荒井さんに印鑑(印章)のことについて、詳しくわかりやすく教えていただこうと思います。
「どうかよろしくお願いします。」
荒井:
こちらこそ、よろしくお願いします。
ところで、お二人は実印はお持ちですか?
小椋:
はい、持っています。一応。
|
 |
荒井:
どこで買われましたか?
小椋:
えっと、、、ファッション系のカタログ通販です。とりあえず安いのを選びました。
荒井:
なるほど。ところで、印鑑に最も必要な事ってなんだかわかりますか?
小椋:
えっと、材質ですか?象牙とか。
荒井:
いいえ、もっと大切な事があります。その印鑑が唯一無二であるということです。
印鑑(正確には印章といいますが)は契約や登録に際して、捺印している人物が間違いなく本人であることを証明するもので、日本の文化といってもいいものです。海外にはサインという文化がありますが、少し器用な人であればサインは真似ができますし、サインの鑑定家というのは大変少ないことを考えると、誰でも真贋がある程度見分けられる印鑑という制度は、個人の認証には大変有効なものだと考えています。
小椋:
サインよりも優れているんですか!
荒井:
えぇ。
印鑑は、昔は認印も含めて全て手作りでしたから、同じ書体で同じ名前を彫刻しても違いが出ます。逆に言うと、全く同じものというのは、不可能ではないにしろ大変作りにくいものなのです。
小椋:
なるほど。今はどうなんですか。
荒井:
印鑑業界も進歩して、デザインや彫刻をコンピュータやロボットで行います。ですが、デザインの工程や仕上げの段階で必ず人の手が入りますから全ての印鑑は、フルオーダーメイドで唯一無二だと思っていただいていいと思います。
ただし、ですね…
小椋:
ただし!?
荒井:
あまりにも価格が安いところは、人の手が入っていない可能性があります。20年以上この業界にいる業界人として、どう考えてもできない価格というのがあって、それを下回っているということは、どこかの工程を省略しているとしか考えられないのです。
小椋:
と、いうことは?
荒井:
いくら印材を大量に仕入れてもそんなに安くはなりませんし、仮に印材の価格が同じだとしても、考えられるのは製作工程しかありません。
それもデザインのアレンジや仕上げなどの人の手がかかるところを抜くしかありません。
ロボットが自動デザインしたものをロボットが正確に彫り上げると。
小椋:
どうなるんでしょう
荒井:
同じものができる可能性があります。
小椋:
「えっ?」

荒井:
もともと、ロボットは人間以上に正確な作業を繰り返すために作られたものですから、よく考えてみれば、そうなるのは当たり前です。(笑)
小椋:
も、もしかして、私のはヤバイんですか(汗)
荒井:
いえいえ、実物を見てみないとわかりませんし、あくまで可能性の問題です。(笑)
彫刻時の針研ぎ方によって、微妙に文字の太い・細いも変わってきますしね。
蔵本:
ところで、最近の他社の印鑑販売のECサイトを見ていると、同じものでも価格帯が意外と広いのですが。。。
荒井:
そうですね。元々、印鑑は、完全手彫り・フルカスタマイズの一品物の商品です。ですから、一昔前まではちょっとした初任給くらいの価格でした。伝統工芸士クラスの職人が、一本づつ作るのですから、当然といえば当然です。もちろん弊社でも仕上がりにこだわる方には、今でもこのようなご注文をいただいています。
蔵本:
でも、ロボットの導入で、それが変わった。
荒井:
価格というのは、何がしかの企業努力の結果なのですね。しかし私の考え方は、印鑑というオーダーメイドの商品の価格を極端に下げるといった戦略は、自らの会社のスキルが低いと言っているのに他ならない、と、思っています。自社の印鑑は価格を下げないと売れないと。 また、安くさえすればお客様は喜ぶと考えるのは、逆にお客様を侮辱しているような気がしてならないのです。
話が横にそれましたが、下げる方法としては、いくつかあります。一つは大量生産体制です。できるだけ。効率的に多くの案件を処理していく。時間当たりの生産本数が増やせれば、固定費が同じなら、それだけ安くできます。
蔵本:
なるほど。
荒井:
ところが、この方法では、品質に対して大きな問題が発生します。
蔵本:
といいますと?
荒井:
先ほどの品質のお話で、「印影」が大切というお話をしました。
実はコンピュータを使ったと
しても、コンピュータが自動レイアウトした印影デザインは、
そのままではあまりバランスがよくないのです。
弊社では基本的に、20年以上の印影デザインの経験がある私、もしくは40年以上のキャリアのある職人にしか、この作業(印面デザイン)をさせません。印影デザインには、コンピュータを導入しても職人的な「経験」と「勘」、そして、書道の心得や絵心といったものが必要となるのです。これが、私たちの商品に対する責任でありこだわりでもあります。
第一、大量生産体制で流れ作業で作るような形になると、やはり気持ちというか魂というか、商品に「氣」が入りません。特に実印などは、人生で大きな決断をするときに登場するものです。ですから、やっぱり最後の仕上げなどは、よい印鑑になるようによい契約が結べるようにと心を込めながら作りたいと想っています。
それから、安心してお買い物をしていただくための投資も必要です。例えば、インターネットショップでは、SSLを実装していますし、その他弊社ではセキュリティに関しての投資は惜しんではいません。将来的には個人情報保護に関する承認も取得するつもりです。実際に5月から動く予定です。
このようなコストは、しかるべき適正な価格での販売を行わないとやはり難しいものなのです。
私としては企業努力の目標を、単なる「価格の安さ」や「納期の短さ」といったものに照準を合わすのではなく、より高品質なものを適正な価格で安心してお買い求めいただける環境づくりにしていきたいと考えています。
蔵本:
そうですね。一生にそう何度も購入するものではないだけに、できるだけきっちりとしたお店から買いたいですよね。
荒井:
はい、このインターネットショップ店を開くにあたって、「よい印鑑の基準」や弊社の作業手順などをかなり詳しく掲載しました。また、私のご挨拶として、当社の歴史やこだわりを掲載させていただきました。少し長くなるかと思いますが、当店でのご購入をご検討いただいている方には、ご一読いただけると幸いです。
蔵本・小椋:
早速、読みます。ありがとうございました。